この優しい春の夕暮れ、月光がそっと芍薬の花に忍び寄る。
陶磁器で焼かれた芍薬の花は、一輪ごとに練り土、色付け、花弁の成形、組み立て成形……窯焼きまで50以上の工程を経る。
制作の難点は二つ、一つは花の形の組み立て、もう一つは芍薬の色合いである。
芍薬の花は花弁の組み立てに極めて細心の注意を払う。
手のひらほどの大きさに61枚の花弁が絶妙な配置で散りばめられている。リアルな芍薬を表現するには、微風に揺れるように幾重にも重なり、骨のない柔らかな姿を手で形作らねばならない。
芍薬の色合いもまた大きな難点である。
芍薬のピンクは軽やかで清らかな淡いピンク色であり、赤みが強すぎると俗っぽくなり、ピンクの存在感が弱すぎると花全体が白く力なく見えてしまう。
磁器の花に色彩を与えるのは、スプレー塗装ではなく、鉱物性顔料を調合し、磁器粘土に練り込み、1380℃の焼成を施すためである。焼成前後の色調差が大きいため、異なる顔料の配合比率を繰り返し調整する必要がある。
組み合わせた無形文化遺産認定のフレグランスオイルには、東洋の香料【ライチ】を配合。ライチを最も重要な香りの導き手として用いている。古香のレシピにおいて、ライチの殻は極めて特殊な存在であり、それはYeekkokuが「清らかな甘さ」をどう捉えているかを象徴している。
東洋の香り(オリエンタル)と西洋の香り(フローラル)における「甘さ」の解釈は大きく異なる。東洋の香りの甘さはより清雅で内省的であり、長く嗅いでも飽きることがなく、ふと香りを嗅いだ瞬間に心に突然喜びが湧き上がるような甘さである。
この香りを体験する
芍薬 陶磁器の花香炉
清らかで甘い花と果実の香り、優雅な東方美学